芥川賞受賞!『コンビニ人間』を読んでみました。

芥川賞は堅苦しい変わった小説というイメージを覆した村田沙耶香さんの傑作

芥川賞というと、小難しくて高尚でとても読みづらいというイメージがあります。

そのイメージを最初に壊したのは、『火花』で芥川賞を受賞した又吉直樹さんでしょう。

私は火花も読みました。これは芸人さんという独特な世界で生き抜いて今も第一線で活躍する又吉さんだから書ける作品で、人情味溢れる登場人物の描写が好きでした。

ただ、夢に人生を賭けた稀有な人にしか書けない小説で、やはり芥川賞というものは特別なものだという私の感覚は変わらないままでした。

又吉さんの受賞で次の芥川賞は誰が受賞するのだろう、また特別な物語を書く人なのだろうかと思っていました。

村田沙耶香さんの『コンビニ人間』を読み進めていくうちに、一見、普通に見える平凡そうな人の日常をこれほど、興味深く書ける人がいるのかと、驚きながら通勤のバスの中で一気に読み進めてしまいました。

世間体や多数派の価値観に苦しむ主人公

舞台となるコンビニそのものがありふれた日常の代名詞のような場所です。主人公の仕事熱心さに感心しました。

普段何気なく利用するコンビニの仕事の舞台裏が描かれていて、こんなに大変なのかと素直に驚きます。

主人公は正社員でなくフリーターであること、彼氏がいないことで、多数派の人達から無遠慮で無神経な発言を度々されます。

二十代の頃ならば若さと勢いで無視出来ていた、世間体というものに苦しめられます。

同じような生きづらさを抱える元同僚に主人公は出会い、その同僚からとんでもない取り引きを持ちかけられます。

世間体を繕うために同棲するというとんでもない提案を主人公は受け入れてしまいます。

そして、元同僚は無職の引きこもり状態で、彼女が彼を養うようになります。

コンビニのアルバイトだけでは二人で食べていけないので、元同僚のススメで主人公は正社員への転職面接を受けに行きます。

世間の価値観にNOを突きつける主人公

いよいよ正社員への転職を賭けた面接というその直前に主人公は近くのコンビニに寄ります。

整理整頓されていない商品棚を見て無意識の内に売れ筋の商品を目立つところに移して、商品棚を整え始めます。

この辺りの描写は学生時代にコンビニでアルバイトをしたことのある私は、わかるこの気持ちと思ってしまいます。

私は今でも棚から飲料を取るとき、隣の飲料が商品の正面を向いてないとつい直してしまうんです。

そして、主人公は面接をすっぽかして、元同僚を追い出した主人公はまたコンビニのアルバイトへと戻っていきます。

自分の居場所はコンビニにしかないと思い込んでいるところが少し病んでいるなと思いつつも、この主人公に共感してしまうのです。

正社員でなくてもいい、彼氏も結婚もしたくない、世の中の三十代の女性が世間体を気にして、言えない、思っていても実行出来ないことを思い切ってやってしまう主人公に小気味良さを感じます。

安くて便利な商品は安い労働力に支えられている

コンビニ人間を読んで、安くて便利な商品を支えているのは安い労働力で、私たちはその恩恵を享受しながら、自分だけは身分が保障された正社員であり続けようとする。人間とはなんとも、自分勝手で浅ましいものだなと思いました。自由競争、自己責任という言葉を免罪符にして、ちゃっかり24時間いつでもなんでも手に入るコンビニで買い物をしています。日本の労働問題を考えさせえられる小説です。

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